仕事に行きたくない、ストレスで調子が悪い・・・
そんな状態が続いたときに考えたいのが、心療内科への受診です。
しかし、受診をするのは敷居が高い、どんなことを言われるのか不安だという人も少なくないでしょう。
そこで今回は、実際に気分障がいで心療内科に通院されているタンタンさんをお招きし、お話をお伺いしながら心療内科や精神通院について深堀していきましょう!
タンタンと申します。よろしくお願いいたします。
おかしいと思ったら早めの受診を
心療内科を受診したきっかけは何でしたか?
仕事上のストレスからでした。
気分が落ち込む、食欲がない、意欲が出ないといった自覚症状がありました。
タンタンさんは市役所に勤めていました。
勤務して7年目、
- 何度も係の異動を言い渡され、その都度新たな仕事内容に取り組むことになった。
- 新人教育に力を入れていたが、その新人が不祥事で退職してしまった。
- 人間関係(顧客を含む)がうまくいかなかった。
- そもそも仕事が自分に合っていないと感じていた
などといったことが重なって、精神的な不調を感じるようになりました。
気分が落ち込んでしまい食欲もなくなり、体重も5キロほど落ちました。
仕事や趣味に対する意欲もなくなっていったのです。
このような状態が1年以上続いたので、自ら心療内科を受診することを決めました。
不調だと思ったら、早めに受診することをお勧めします。
- 眠れなくなった
- 不安な気持ちが続く
- 仕事に行きたくない
など、不調の兆しが出てきたら早めに心療内科を受診することが大切です。
また、身近な人がこのような症状が出て悩んでいるようなら受診を勧めてあげてください。
「この程度で受診していいのか」と悩んでいる間に、どんどん症状が悪くなるかもしれません。
精神科?心療内科?どこに受診したらいい?
心の不調で病院を受診しようとする場合、精神科と心療内科で迷うかもしれません。
精神科は、心の病気そのものの治療を行います。
心療内科は、ストレスが原因で身体に現れる症状の治療を行います。
上記のように住み分けはされているとはいえ、初めてクリニックを受診しようと思っている方にとっては、自分がどちらなのか判断は難しいですよね。
どちらを受診したらいいかわからないときは、精神科と心療内科、両方を標榜しているクリニックを選ぶと間違いありません。
僕はあまり気にせず、ホームページを見て雰囲気がよさそうな病院を選びました。
まずは電話で予約
受診するクリニックを決めたら、予約の電話を入れます。
電話で聞かれること、伝えることは次の通りです。
- 初めて受診するということ
- 受診したい日・時間
- (聞かれたら)どんな様子・症状かを簡単に(「気分が落ち込んだりする」「最近眠れない」など)
「初めて受診したいのですが、〇月〇日はあいてますでしょうか?」と切り出す感じでよいです。
緊張するなら、言うことを紙に書いておいたり、声に出して練習してみるのがよいでしょう。
注意点としては、心療内科は混み合うことが多いので、時間的に余裕のある日に予約を入れるのがベストです。
いざ受診!どんなことを聞かれるの?
予約した日時にクリニックに行きましょう。
保険証とお薬手帳を持って行ってください。
問診票を記入し、血液検査を済ませたら、いよいよ先生との対面です。
聞かれることは、主に次のようなことです。
- いつから、どのような症状が出ているか。
- その原因と思われることについて
- 今おかれている状況(家族、仕事、職場、人間関係など)
特に「いつ、こんなことがあってどうだった」という内容は、受診前に思い出しておくのがよいでしょう。
僕は受診までに時間がかかったし、話すのも得意ではなかったので、紙に書き出してまとめておきました。
通院の様子
初診の、その後はどんな感じでしょうか?
僕の場合は、週1回の受診を続けています。
定期的な通院では、主に
- 最近の様子について
- 薬の調整
について、聞き取りなどが行われます。
世間話も交えながらなので、リラックスして臨みましょう。
医療費、通院費が心配・・・
タンタンさんは週1回の通院をされているとのこと。
医療費や通院費が嵩まないのでしょうか?
自立支援医療や市町村の補助を使っています。
自立支援医療(精神通院医療)
自立支援医療(精神通院医療)とは、精神障がいや精神障がいに起因して生じた病態について指定のクリニックを受診する場合に使える制度です。調剤でも適用されます。
この受給者証をもってクリニックを受診したり薬局に行った場合、医療費の負担額が1割負担になります。
また、所得の段階に応じて医療費の月額負担上限額が定められており、それを超える金額は負担しなくてよくなります。
上限額は具体的に、
- 生活保護 → 0円
- 住民税非課税世帯 → 2,500円または5,000円
- 住民税課税世帯 → 5,000円または10,000円
といった感じです。
手続きはお住いの市町村で行いますが、自立支援医療用の診断書も必要になることから、事前に市町村の福祉課で申請書と診断書の書類をもらってください。
その診断書を持ってクリニックを受診し、診断書がほしい旨を伝えると作ってくれます(診断書料がかかります)。
診断書ができたら、申請書、診断書、保険証をもって再び市町村の福祉課に行って、手続きをしてください。
自立支援医療の受給者証は県が発行するので手元に来るまで1か月程度かかりますが、有効期限は申請日からとなります。
その間に受診した医療費については後で還付されますので、クリニックに手続き中であることを伝えてください。
注意点として、自立支援医療は手続きの際に指定したクリニックや薬局でしか使えません。基本的に、1医療機関、1薬局しか指定できません。
たとえば、Aクリニックを指定しておいてセカンドオピニオンとしてB病院を受診した場合には、B病院は3割負担となります。
また、通院と調剤でのみ使えます。入院では使えません。
市町村による助成
その他なにか補助がないか、お住いの市町村の福祉課に確認してみてください。
たとえば、島根県津和野町の場合は自立支援医療(精神通院医療)の受給者に対して、
- 通院費の補助(公共交通機関運賃の半額、月額上限5,000円)
- 医療費の補助(自己負担分を還付)
と、手厚い補助があります。
心の不調は、通院が長期化することは珍しくないため、補助があると嬉しいですね。
おわりに
タンタンさんは、
『受診前は「こんなことで受診して大丈夫なのか」「どんなことを言われるのか」といろいろ不安に思っていました。しかし、先生にいろいろ相談できるし、処方された薬を飲むと楽になるし、もっと早めに受診すればよかったと思っています』
と話しておられました。
この記事に辿りついたあなたは、きっと今、しんどさや生きづらさを抱えておられることと思います。
そんなときは、クリニックも頼ってみてください。
早めの受診が、あなたの助けになるでしょう。
「環境を変えてみる」ということ
少し本題から離れますが、「環境を変えてみる」というお話をします。
冒頭にも書いたように、タンタンさんは仕事のストレスを抱え、通院するようになって6年以上になります。
仕事を続けるには必要な通院でしたが、ストレスの根源を断たない限り、症状が全くなくなるということはなかなかありません。
ストレスの根源、タンタンさんの場合は仕事ですね。
タンタンさんは上司に相談したり、異動を願い出たり、時には休職もしてみましたが、改善されることはありませんでした。
そこで考えたのは「退職」でした。
仕事を辞めたら、たちまちよくなるということはありません。
しかし思い切って環境を変えたところ、以前よりも体調は良くなり、薬も減っているとタンタンさんは言います。
今の状況が苦しい、つらいときは、環境があなたに合っていないということも考えられます。
大きな決断となりますが、あなたの大切な命を守るためには必要な選択肢です。
私、しゃむ子は、つらく苦しい環境からは逃げることを推奨しています。
タンタンさんが退職を決断したできたのは、愛読書『「死ぬくらいなら会社やめれば」ができない理由」の存在がありました。
この本は著者・汐街コナさんが仕事が忙しすぎてうっかり自殺しかけた経験をもとに、漫画で「会社が辞められない」という思考にとらわれた心を解放してくれる一冊です。
精神科医のゆうきゆう先生が監修されており、精神科医の立場からのQ&Aのページも充実しています。
今回取り上げた心療内科の受診についてもわかりやすく書かれていますので、ぜひご覧ください。
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