障がいを抱えても、自分らしく働きたいですよね。
でも、一般就労は敷居が高いと感じている障がい者の方もいるかと思います。
その場合は、障がい福祉サービスを利用して福祉的就労をするという手もあります。
障がい福祉サービスで訓練を積み、一般就労へステップアップを目指すことも可能です。
障がい福祉サービスには就労系のサービスがいくつかありますが、今回は就労継続支援B型について取り上げます。
就労継続支援とは
就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者に就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うサービスです。
就労継続支援は、A型とB型があります。この2つの大きな違いは下記のとおりです。
就労継続支援A型:雇用契約を結ぶ(雇用契約に基づく就労が可能である者が対象)
就労継続支援B型:雇用契約を結ばない(雇用契約に基づく就労が困難である者が対象)
A型は雇用契約に基づく就労になりますので、最低賃金が保障されています。
一方、B型は雇用契約を結ばないため、作業報酬は工賃として支給されます。
就労継続支援B型の対象者
就労継続支援B型作業所を利用できるのは、下記のいずれかの条件にあてはまる方です。
- 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
- 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
- 上記に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者
仕事の内容
就労継続支援B型作業所ではどんな仕事をしているのか、例を挙げてみます。
- 製品の組み立て
- パンやお菓子の製造
- 調理補助
- 製品の封入や箱詰め
- パソコンの入力作業
- クリーニング
- 農作業
- 施設清掃(草抜きなど)
仕事内容は事業所ごとに様々です。また、障がいの状態によっても仕事内容は変わってきますので、見学等で事前に確認しておくのがよいでしょう。
工賃
事業所により違いますが、厚生労働省が公表している資料によると、令和2年度の平均工賃は、月額15,776円、1時間あたり222円でした。
これを読んで、「工賃が安すぎる」と思った方もいらっしゃるかと思います。
理由は3つあります。
①就労継続支援B型作業所は雇用契約を結ばないため、最低賃金が保障されていない。
②請け負う仕事自体が安い報酬(「1個組み立てたら〇銭」という世界)
③作業所が訓練もしくは居場所づくりという性質が強い。
参考までに、雇用契約を結ぶ就労継続支援A型の平均工賃(賃金)は月額79,625円、時間額は899円です。
進路としての就労継続支援B型
厚生労働省によると、令和2年3月に特別支援学校を卒業した22,515人のうち、7,075人が就労系の障がい福祉サービスを利用しています(一般就労は7,204人、進学は714人)。
このうち就労継続支援B型を利用している人が何人いるかは読み取れませんが、特別支援学校卒業後の進路として就労継続支援B型事業所に通所することは可能です。
ただし、特別支援学校を卒業してすぐに就労継続支援B型を使うには、就労アセスメントが必要となります。
「アセスメント」とは評価や査定といった意味合いです。
つまり、就労に関する能力を査定するわけです。
なぜアセスメントが必要かというと、就労継続支援B型は、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人など雇用契約に基づく就労が困難である人に対するサービスであるからです。
また、働くことを希望する障がい児が適切な「働く場」を選択することを支援するためには、その障がい者の就労面や生活面に関する情報を把握しておくことが必要であるからです。
就労アセスメントは就労移行支援という障がい福祉サービスを行う事業所で実施し、数日間の実習を行います。
もしくは、一般企業などで実習を行った結果を自治体等に提供した場合に就労アセスメントを受けたとみなすことができます。
サービスを利用したいときは
相談支援事業所またはお住いの市町村の障がい福祉係にご相談ください。
サービスを利用するには、身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳や自立支援医療を所有していることが条件となります。
障がい福祉サービスの利用の仕方については、下記の記事で解説していますのでご覧ください。
まとめ:自分のペースでステップアップを
今回は、就労継続支援B型について解説しました。
福祉的就労を経て一般就労にステップアップすることは、十分可能です。
一般就労が難しいと感じている方は、相談支援専門員や就労継続支援事業所のスタッフと連携して無理のない利用計画を立て、少しずつ経験を積むことをお勧めします。
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