近年、発達障がいへの認知や理解が進んでいます。
発達障害教育推進センターによると、個別の特別支援教育を利用する発達障がいのある児童生徒数は平成19年度以降、毎年増加傾向を示しているといいます。
また、文部科学省は、公立の小中学校の児童生徒の8.8%に「学習面または行動面で著しい行動を示す」という調査結果を公表しました。
相談支援専門員である私が関わっている子どもも、発達障がいの子どもは増えています。
では、発達障がいの子どもが使える障がい福祉サービスにはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
発達障がいとは
発達障がいは、発達障害者支援法においては「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
それぞれの特性について、簡単にまとめると次のようになります。
自閉症・・・言葉の発達の遅れ、コミュニケーションや対人関係の苦手、こだわり
アスペルガー症候群・・・言葉の発達の遅れはない、コミュニケーションや対人関係の苦手
学習障害・・・「読み」「書き」「計算」が苦手
注意欠陥多動性障害・・・集中できない、じっとしていられない、衝動的な行動
私が関わった子どもにも、自分の中にルールがあり、空気が読めず、相手が怒ってもなぜ怒っているのかがわからないといった対人関係の苦手を呈する子どもがいます。
発達障がいの子どもが使える障がい福祉サービス3選
障がい児でも使えるサービスはいくつかありますが、その中でも発達障がいでも使えるサービスを3つ挙げてみたいと思います。
①児童発達支援
児童発達支援とは、身体的、精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために、それぞれの特性に応じた支援を行うサービスです。
児童発達支援の提供すべき支援として、「発達支援」「家族支援」「地域支援」があります。
発達支援(本人支援及び移行支援)
下記の5つの領域について支援を行い、日常生活や社会生活を円滑に営めるようにするものです。
また、地域の保育、教育等の支援を受けられるようしていくとともに、同年代の子どもとの仲間作りを図っていくことも重要な役割です。
- 健康・生活:心身の健康や生活に関する領域
- 運動・感覚:運動や感覚に関する領域
- 言語・コミュニケーション:言語・コミュニケーションの獲得に関する領域
- 人間関係・社会性:人との関わりに関する領域
家族支援
障がいの特性に配慮し、子どもの「育ち」や「暮らし」を安定させることを基本に、家族が安心して子育てを行うことができるよう、さまざまな家族の負担を軽減していくための物理的、心理的な支援を行います。
地域支援
地域で適切な支援を受けられるよう関係機関等と連携するとともに、地域の子育て支援力を高めるためのネットワークを構築します。
②放課後等デイサービス
放課後や夏休みなどの長期休暇を利用し、訓練や遊びを通じて、生活能力やコミュニケーション能力の向上を図ります。基本的に小学校1年生から高校3年生までの障がい児や発達に特性のある子どもが利用することができます。
集団活動(音楽療法やレクリエーション)や個別活動(宿題などの勉強の支援や制作活動)、長期休暇中は川遊びや買物、クッキングなどの活動を行っています。
③保育所等訪問支援
保育所等訪問支援とは、対象児童が通う保育園や幼稚園等の集団生活を行う施設を専門スタッフが訪問し、本人及び施設のスタッフを支援するサービスです。
支援の内容は、月に1~2回、次のような支援を行います。
- 対象児童に専門スタッフが付き添って一緒に保育を受け、様子を観察する
- 対象児童が集団生活を送るために必要な環境設定を行う
- 施設のスタッフとの情報共有
環境設定の具体例としては
- スケジュールを表示して何時に何をするかを明確にする
- 伝え方の工夫(イラストを使って説明をする、短くはっきりと言うなど)
- 感覚過敏への対応(音量や光、室温などの調整)
などがあります。
サービスを利用するには
相談支援事業所またはお住いの市町村の障がい福祉係にご相談ください。
サービスを利用するには、身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳や自立支援医療をお持ちか、医師の意見書が必要となります。
障がい福祉サービスの利用の仕方については、下記の記事で解説していますのでご覧ください。
まとめ:子どものためにサービスの利用を
親御さんの中には障がいを認めたくない方もいらっしゃいますが、サービスを早期に利用することで、子どもの社会適応能力を伸ばすことができます。
気になること、困っていることがあれば早めに相談し、サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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